山下智久主演の爽快サイエンスミステリー TBS金10ドラマ
「インハンド」5話のあらすじとネタバレです。
紐倉哲(山下智久)は普段から幻肢痛のせいで不眠症に悩まされていた。
ない右手があるかのように脳が錯覚し、ないはずの右手が痛むのだった。
右手にまつわる記憶がフラッシュバックすることで強い幻肢痛を引き起こしていた。
おそらくPTSDだった。ほっておくこのままと一生苦しむことになるかもしれなかった。
牧野巴(菜々緒)は紐倉を疑っていたが、高家春馬(濱田岳)は紐倉を信じていた。
その頃、室長は上からメディカルサイエンス部を閉鎖すべきではと打診されていた。
そこで、室長は紐倉をアドバイザーとして呼ぶことを公言した。
しかし、紐倉の過去が疑わしいことでアドバイザーとして呼べるかがはっきりしなかった。
室長は牧野に紐倉の過去を洗い出すことを頼んだ。
その頃、高家は研究所に心理カウンセラーを呼んでいた。
「紐倉ー、寄生虫愛好家の人が遊びに来てくれたぞー」
しかし、紐倉の変態っぷりにカウンセラーは逃げ帰ってしまった。
「一体君は何を企んでいる?」
「幻肢痛を治すために治療を受けて欲しい。こんなんでも俺は医者だったんだよ。
目の前で人が苦しんでるのを見過ごせないよ。お前が天才なのは認めるよ。
でも、どんな天才でも一人でできることと出来ないことがあるだろ?」
紐倉は頑なに一人で出来ると言い張った。
「お前はもっと外に出るべきなんだよ。その為には、過去のトラウマと向き合って見ないか?」
「ムダだよ。カウンセリングも催眠療法も全部駄目だった。
当時のことを思い出そうとすると必ず右腕の幻肢痛に襲われるんだ」
「亡くなった入谷さんのことか」
「入谷は僕を怨んでた。僕が入谷を自殺に追い込んだんだ」
紐倉は入谷との最後の言葉を思い出そうとするが、記憶が欠落していて思い出せなかった。
思い出そうとすると右手が酷く痛んだ。
「もう出て行ってくれ。お前がきてから痛みが酷くなってる」
そう言われた高家は研究所を後にした。
紐倉がデスクに戻ると落とした右手の義手は充電されており、カップめんが用意されていた。
高家はカプセルホテルに泊まっていた。牧野がそこを訪れた。
「俺がいたら幻肢痛が酷くなるって言われたんだ」
「このままじゃ博士はずっと一人ね。あなたが諦めたら彼はもう二度と他人と関わらなくなるんじゃないの」
フューチャージーンのCEO福山和成はCDC時代、紐倉の上司だった。
福山なら紐倉と入谷の仲を知っていると踏んだ牧野と高家は、フューチャージーンに乗り込んだ。
「紐倉は今、幻肢痛に苦しんでいます。助けてください。お願いします」
2人は福山に話を聞かせてもらえることになった。
紐倉は大学時代の教え子で、CDCに誘ったのも福山だった。
「入谷さんはどういう方だったんですか?」
「正義感が強くて明るい奴だった。情に厚くてね」
「なんか、誰かさんと被るね。居たらウザいけど、居ないと寂しいみたいな」
福山は入谷をアメリカに連れて行くことには反対していた。
入谷はクローン病だった。
免疫系の異常で消化管の炎症を起こす難病だった。
「本当に紐倉が入谷さんを自殺に追い込んだんでしょうか。2人に何があったんですか?」
5年前、フィリピン沖のマリアナ海にある小さな島で3人はCDCの任務で島民を一人ずつ検診し、
アジアで流行が見られる感染症を調査していた。紐倉はその頃から人より寄生虫に夢中な変人だった。
「おい、哲。少しは住民とも仲良くしろよ」
「それはお前の仕事だ。そのためにお前が居る」2人はいいコンビだった。
「俺はお前が世に出て行くのそばで見ていたいんだよ。
俺もさ、いつか未来のため世のために何か残したいって思ってたんだよな。
けど、お前と出会って思ったんだ。いつか世界を救うのはお前なんじゃないかって。
今はマジでそう思ってる。なんでか、わかるか?最高の助手が居るからだ」
紐倉と入谷は兄弟のように仲がよく、心の底から分かり合っていた。
ところがある日、島のひとりの7歳の少女が感染症にかかった。
マリアという少女はいつもどこからか拾い集めてきたものを宝箱にしまっていた。
おそらく発症したのはエボラ熱だが、感染源は不明だった。
福山はCDCに報告した。すぐにアメリカ陸軍がやってきた。
紐倉と入谷は島の住民たちを診察していたが、なぜか最初の発症者のマリアには接触させてもらえなかった。
「どうして何もしないんですか?患者を見殺しにする気ですか?」
「軍の方からフィリピン政府に薬品と応援の要請は出してる。今は待つしかない」
紐倉は重症患者をヘリで空送することを提案したが、それも陸軍には却下された。
「全てが妙だと思わないか?CDCに報告したのが昨日だ。
なのになんであいつらはこんなに早くフィリピンの孤島に大勢で乗り込んでくるんだ?」
「米軍は最初からこの島でエボラが発症することを知ってたっていうのか?」
「患者0はマリアだ。彼女がどうやって感染したのか調べよう」
2人はマリアがよく遊んでいたハーポン川に行くとそこには墜落した米軍機があった。
そこにはマリアが宝物箱にしまっていたのと同じワッペンが落ちていた。
マリアがここにきていたのは間違いなかった。
さらに奥に行くと薬品が散らばっていた「まさか輸送してたのか。エボラウイルス」
「新たな生物兵器として開発する気だったのかもしれない」2人が村に帰ってくるとマリアは亡くなっていた。
入谷は陸軍に運ばれるマリアに駆け寄ろうとしたが、紐倉に止められた。
「CDCから連絡が入った。撤退だ。明日発つぞ」福山からの連絡が入った。
「俺は帰らない。今帰ったら、この島を見殺しにするのと同じだろ」
「ここに居ても僕達にできる事は限られてる」
「だったら、俺達にしかできないことをやろう。病原体を持ち帰るんだよ
。俺達で治療薬を作ろう、哲。マリアの死を無駄にしないためにも」
「落ち着け、入谷。今の僕達にそんな力はない。いつか日本にバイオセーフティレベル4の施設を作る。それが出来たら」
「そんなの待てるか!今行動しないと!」
「俺たちに何が出来る。中途半端な正義感で動くなよ」
「お前、この島見殺しにする気か?」
「入谷、感情の奴隷になるな」
「感情がなきゃ、人間じゃない」
「見つかったらただじゃ済まないぞ」入谷は納得したフリをした。
それからCDCアメリカ疾病予防管理センターに戻った紐倉と入谷は別々のグループで研究をしていた。
そんなある日、紐倉の携帯に差出人不明であの島から写真が送られてきた。
そこには陸軍によって村が焼かれ、村人の死体が火葬される場面の写真が映っていた。
そして紐倉の元に突然、あの時の陸軍の1人、キャラウェイが尋ねてきた。
「何か変わったことはありませんか?」
「変わったこと?特にありません。ひとつ聞いていいですか?島のみんなはどうなりました?」
「あなたたちが帰ったあと、更に数人の感染者が出ましたが、徐々に感染は落ち着き、村は元の姿に戻りました」
「それはよかった」
紐倉は入谷の元を訪ねたが、入谷はそっけなかった。
「写真が届いたよ」
「見たのか?マニーは君にも知らせたんだな」入谷は島を出る前に、
マリアの兄のマニーに島に何か異変があったら知らせるよう携帯を渡していたのだった。
「どうなってる」
「恐らく島は・・全滅だ。マニーの携帯も繋がらない。あれはただのエボラじゃない。
人工的に感染力も殺傷力も増幅させた新型のエボラウイルスだ。
お前の予想通り、あのウイルスは軍によって開発された生物兵器だ。
それを隠蔽するために島ごと証拠を消したんだよ、軍は」
「お前、持ち帰ったのか、病原体を、入谷!キャラウェイが嗅ぎつけてるぞ」
「お前には関係ない。これは俺の問題だ」
「とにかくエボラの研究を今すぐ中止しろ」
「時間がないんだよ!!」陸軍は入谷が病原体を持ち帰ったことに気づいていた。
紐倉は入谷に投降することを促したが、入谷は隙を見て研究室を飛び出した。
研究室の屋上には軍が待ち構えていた。
「動くな!下手に抵抗すると撃つ」
何かを考えた入谷は紐倉に向かって叫んだ
「紐倉!お前には関係ない!お前のせいで俺の計画は台無しだ。
お前と出会わなければこんなことにはならなかった。お前が憎い」そう言った入谷は屋上から落ちた。
それを間一髪、紐倉が両手で掴んだ。「離せ、哲」「嫌だ、離さない」
紐倉はそこから先の入谷とのやり取りが思い出せなかった。
軍が撃った弾は入谷を掴んでいた紐倉の右手に命中した。入谷と紐倉の右手は下に落ちていった。
「高家くん、ひとつ聞いていいかな。君はどうして紐倉のようなひねくれ者の助手をやっているのかな」
「あいつは必要な奴だからです。あいつはいつか世界を救うって僕もそう思ってます。入谷さんと同じように」
高家のその台詞を聞いた福山は、入谷の遺品を高家に渡した。
「入谷の遺留品だよ。入谷が亡くなって半年くらい経った頃、米軍から急に送られてきてね。
家族が居なかったからね、入谷は。当然、紐倉にも連絡したんだけど、
あいつはこれに触れる資格も見る権利もないって。持って帰ってくれないか」
高家は入谷の遺品を見ていた。その中には紐倉と入谷があの島で一緒撮った写真が入っていた。
牧野は室長に紐倉の過去には何もやましいことはなかったと報告した。
室長は浮かれていた。牧野も内心ほっとしていた。
高家は紐倉の研究所に帰ってきた。
「福山さんから預かった。入谷さんの遺留品だよ。福山さんがいろいろ話してくれたよ。
入谷さんは紐倉のことを怨んでなかったよ。これをみれば、わかるんじゃないか」
そう言うと、高家は紐倉の前に入谷が書いていたノートを開いて見せた。
“今日もクローン病が重い。だけど、休んでる暇はない。エボラの生ワクチン、急がねば”
マウスでの実験中、入谷はエボラウイルスを自分の手に刺してしまった。
“感染するかもしれない。正規検査の結果、陽性。エボラに感染。悔しい、もう少し、生きていたい”
「どうして言ってくれなかったんだ」
「それを聞いてたらお前はどうしてた?」
「すぐに治療させたよ。専門医に見せれば、何か手があったかもしれない」
「そんなことしたら、米軍にお前も共犯者だと思われるだろ。それが、嫌だったんだ。
CDCの屋上でお前をののしった時も、お前が共犯者じゃないことを米軍にアピールするためだったんだ。
同じ助手としてわかる気がするよ、入谷さんの気持ち。俺達助手は研究者を支えるのが仕事なんだ。だ
から足を引っ張ることだけは許せないんだよ」
紐倉は入谷のノートを見ながら過去を思い出していた。
ノートの最後には、”紐倉哲の助手で良かった 哲、ありがとう” と書かれていた。
紐倉はその文字を見て涙を流した。
紐倉は入谷との最後のやり取りの言葉を思い出していた。
「紐倉哲の助手で良かった。哲、ありがとう」
「嫌だ、僕をひとりにするな。ずっと僕の助手で居てくれ」
「哲、新しい助手見つけてくれ。新しい仲間見つけてくれ」
「僕には君しかいない、君じゃなきゃ駄目なんだ!」
「哲!後は頼んだぞ、世界救ってくれ」
それが入谷の最後の言葉だった。
入谷のノートに挟まれていたあの島で撮った写真の左上には高家の証明写真が貼られていた。
自分も2人の思いに賛同したい、という高家の気持ちだった。
紐倉は放送で高家を呼び出した。
「何だ、話って」
「僕が間違ってた。やはり、ひとりでは何も出来ない。君は優秀な助手であり、大切な仲間だ。
これからもよろしくな」そういって、紐倉は犬に話しかけた。
紐倉の照れ隠しだった。「ねぇ、ちゃんといってよ!俺に!」
その頃、福山はあのエボラ病の病原体を研究室で取り出していた。
感想
紐倉の過去の真相がわかってほっとした5話でした。
入谷と紐倉の絆もさることながら高家と紐倉の絆も強まった感じでよかったです。
最後の紐倉が高家にお礼を述べるシーンはギャグというか紐倉の照れ隠しが入っていて面白く、ほっこりしました。
これからまた、3人のどたばたトリオが見れるかと思うと楽しみです。